【数学】正当化の理由はごもっともなれど

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 3×4は〇で4×3は×

「3つの団子が刺してある串が4つあります。団子は全部でいくつありますか。」
 
小学生のテストでは必ずと言っていいほど問題の下に「式」、右端に「答」というスペースがあって、ふたつの〇がもらえます。
上の問題の答えは、「12こ」ですね。
単位さえついていれば〇になります。
 
問題は「式」の方です。
① 4×3
② 3×4
③ 3+3+3+3
さて、どれが〇になるでしょう。
 
まず確実なのは①が×ということです。
②と③は学習の進度状況によります。
掛け算を習っていれば②が〇、習っていなければ③が〇。
大人となってしまえば、あまりにも突っ込みどころ満載の内容ですね。
①が間違っている理由は、「かける4」とは「4倍する」ということだからです。
つまり掛け算の学習の段階で、③の式を②へと進化?させていると考えるからです。
「かけられるもの」と「かけるもの」の間に大きな意味の相違があるということなんでしょうね。
いやぁ、理屈はわかるんですけどね。
 

 〇と×

どうもしっくりこない。
そこにこだわる意味というか価値というか。
私でさえそう思うのですから、当の×をされた子どもを納得させるにはかなりの説明能力が必要になるでしょうね。
いや、子どもだからアプリオリに押し付けるべきだという意見もあるでしょうが、それで教員が納得していて子どもも納得できればいいんですけど……。
 
一番問題なのは、〇と×の個数によって学校における評価が決まってしまうにも関わらず、納得しきれないところなんでしょうね。
先の②と③の式の差による〇×もそうですが、要するに護送船団方式を推奨するような、つまり学校の進度が絶対視されるということなんじゃないかと思うのです。
 
「学校で習ってないから×」とか「文部科学省が指定する形になっていないから×」とか、そのこだわりってどうなんでしょう。
いや、こだわりたい価値というか、その価値のメリットは私も十分承知しているんです。
でも、そのこだわりによるデメリットって……その思考の中に入ってます?
メリットがあればデメリットもあるでしょう。
でも、こういった話をすると、いい面ばかりを大きな声で力強く主張している気がする。
私はかまいません。
大人ですからね。
子どもたちはそれで納得してくれるのかなぁ。
説明責任って実は、理解力が不足している子どもにほど必要なものだと思いませんか?
 

 数学の世界観の完成度

数学の世界観の完成度が高いと、数学好きの人はよく思っているようですよね。
子どもながらに算数や数学は答えがひとつでわかりやすい、とか納得しやすい、と思ってましたから。
数学の先生も「どうだ。美しいだろぅ。」とよく言っていました。
私は記号の並びのどこが美しいんだろう……という印象でしたが……。
 
この完成度の高そうに見える世界、現実世界と結びつくと、先ほどのような曖昧さがでてくるんです。
思いつくところで言うと、
なぜ既約分数でなければ×なのか。
ルートの中身を自然数の形に変形しなければ×なのか。
分母のルートを有理化しなければ×なのか。
などです。
分母の有理化にいたっては、高校の三角比の分野では1/(√3)という表現を普通に使っていますし。
中学生に「分母にルートを使ったら×だ」といった1年後には、〇になるというなんとも不思議な話です。
 

 数学の学習において忘れてはいけないこと

数学において私が常に思っていることは、できれば子どもたちにも伝えておきたいことは、数学の学習ってわかりやすくするためにレアケースを学習しているということなんです。
例えば四角形。
四角形を学ぶにあたり、なぜか一番レアケースの正方形から学習する。
もちろん、それがわかりやすくてメリットも多いことは理解できます。
でも、正方形を理解したことが、あまたの四角形を理解することにどれぐらいの貢献度をもっているか、残念ながら私の頭ではいまいち納得できません。
だから、私ができることは、正方形が四角形のレアケースであることを念頭において授業をすること、それを子どもに伝えることです。
 
学習した内容がレアケースであればあるほど、現実世界とは異なる認識が生まれてしまうことも当然あるわけです。
そのズレに納得がいかなければ、数学を学習する意欲もなくなるでしょうし、逆に数学に浅くはまり込んでしまうと、そのシンプルさ、悪い言葉で言うと安直さ、に足元をすくわれてしまうことになりかねません。
 
数学だけに限らず、どの教科の学習活動においても、それを行う理由はあるものです。
ただ、その理由を正当化するときに、それによるデメリットを常に意識しておくことをしておこうと、私は強く思うのでした。

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コメント

  1. 佐久長聖15OB より:

    相変わらずおもしろい視点で物事を見ていてすごいと思います。ただ教えるだけでなく、教えかたに疑問をもったり分析してみたりすることはとても大事だと思います。自分の教えるものがレアケースであること、それを教えることでデメリットも生じ得ることを認識しておくだけでも教え方に大きく影響すると思います。そういった小さな認識を同じ教育現場の特に若手の人と共有していくだけで、5年、10年後には進学実績にも大きく影響するのではないかと思います。今後も頑張ってください。応援してます。

    • げんぽ より:

      記念すべきコメント第1号です。感謝。残念ながら現在は異動して中学校の教員はやっていないのです。でも、色々なものの見方を示すことで、私の望み『せめて自分に関わった人達が日々の生活の中でささやかな幸せを感じられますように』に近づけばと思っています。そういう思いが広がり繋がれば、きっと世の中が良い方向に進むでしょう。私はそう思っています。また暇なときに読んでください。