【社会】イグノーベル賞と社会への皮肉

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 イグノーベル賞

今年もイグノーベル賞が発表されました。
イグノーベル賞とは 「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるノーベル賞のパロディーです。
今年に関しては、立命館大学の東山教授のチームが、股のぞき効果で表彰されたことがマスコミに取り上げられたために、一気にイグノーベル賞も日本における知名度をあげることができました。
実はイグノーベル賞の表彰は1991年から始められて、もう25年ぐらいつづいているのです。
しかも、日本人の受賞については10年連続19回となっています。
 
イグノーベル賞の歴史においては、日本人受賞はさほど珍しくないことなのですが、いかんせん日本人はマスコミの情報操作に踊らされる資質が高いようで……。
こう言っている私も、このタイミングでこの文章を書けば、同じ穴のムジナですな。
 

 社会的な皮肉

このイグノーベル賞は科学的な成果はもちろん、社会的に重要な事件に対する皮肉なんかも賞に組み込んでしまいます。
今年については、『 自動車の排ガス問題を、検査時には自動的・電気機械的に排出量を減らすことによって解決したことに対して』という内容で、フォルクスワーゲン社に送られました。
もちろんこれは、フォルクスワーゲン社がおこなった不正について皮肉を言ったものです。
「環境問題を検査をすり抜けることで解決するなんて、素晴らしい発想だわ」といった皮肉ですね。
もちろん、フォルクスワーゲン社は授賞式には出席しなかったようですが……。
 
これらの皮肉はなかなか辛辣なものが多いので、いくつかピックアップして紹介しましょう。
 
2015年  警官が賄賂を受け取るのを拒否した場合は、その警官に報酬を与えたことに対して
バンコクの交通警察官はわいろをとることで有名でした。
そこでその賄賂を撲滅するために考え出された対策が、賄賂を渡そうとする交通違反者を捕まえると報奨金がもらえるというものです。
しかしながら(当たり前ですが)市民から苦情が相次ぎました。
そもそも、警察官が賄賂を要求するからいけないのでは?
税金をつかって賄賂の代わりに報奨金を渡すなんてことはナンセンスですよねぇ。
 
2014 年 売春、ドラッグ密売、密輸、その他自発的参加者間のあらゆる違法な金融取引から発生する収益を加算することで国民経済の大きさを膨らませて、欧州連合の財政基準を満たそうという動きを誇り高く先導したことに対して
EU(ヨーロッパ連合)では、経済の安定化を図るために、国の赤字に対して基準を設けています。
でも、その基準を満たすことがなかなか難しいことなのです。
そこでEUの統計局が、「表面上に現れていない経済の動きについても計算にいれていいよ~。そうすれば基準クリアできるんじゃない?」と言ってくれました。
これを受けて、イタリア国立統計研究所というところが「んじゃぁ、イタリアは基準クリアだわ」と言ったわけですね。
その表面上に現れていない経済の動きというのが、題名にある通り、『売春、ドラッグ密売、密輸、その他自発的参加者間のあらゆる違法な金融取引から発生する収益』というものです。
基準うんぬんよりも、合意の取引とはいえ、それって犯罪じゃないのか?ってことです。
 
2013年 公共の場で拍手喝采することを違法にしたことに対して および 片腕しかない男を拍手喝采した罪で逮捕したことに対して
東ヨーロッパ。
ロシアの隣りにベラルーシという国があります。
現在でも、ルカシェンコ大統領が独自の支配体制をとっています。
受賞当時、アメリカやEUからの圧力や、ロシアとの関係悪化などがあって、国内にルカシェンコ大統領に対して批判的な動きがありました。
もちろんルカシェンコ大統領は厳しい集会規制を敷いて、反政府運動をとりしまっていました。
反対派の国民は大声で叫んだり、プラカードを持ったりすることができなかったので、フラッシュモブ(突然集団で特定の行動をとる手法)を行いました。
今回の場合は、何となく集まってきて、いきなりみんなで拍手するという行為でした。
インターネット上ではすでに知られていたことで、しかも規制に引っかからない反政府行動となりました。
そこでルカシェンコ大統領は、それも取り締まったのです。
つまり公共の場で拍手はしてはならないというきまりをつくったのです。
ばかばかしい話です。
しかも、その取り締まりをおこなったベラルーシ警察はそのきそくのもと、取り締まりを行い、国民を逮捕しました。
その中に、片腕の男も含まれていました。
片腕でどうやって拍手したのか……結局、拍手したことがきそくに触れたわけではないということです。
これもばかばかしい。
きそくの有無に関係なく、つまり拍手しなくてもつかまるんじゃん、ってことですよ。
 

 社会的皮肉ではないけれども

今年受賞したもののなかに、社会的ではないけれども、とっても皮肉の効いたものが含まれていました。
それは、嘘をつく頻度を統計学的に確認した研究です。
 
年代によって嘘をつく頻度がどのように変化するかを1000人ほどにアンケートをとって、その傾向を検証したものです。
その統計によると、幼少期から思春期に向かって嘘の頻度が上昇し、大人になると嘘の頻度が落ちるという結果が導き出されました。
 
感覚的にとらえてみても、「あぁ、そうかも」と思える結果ですよね。
個人的には、本人に嘘をついている自覚があるという前提でいうと大人になればなるほど頻度が高いのではないかと思いますけど。
罪悪感ってことでいうと、思春期がピークであるようにも感じますね。
 
で、この統計結果が正しいかどうかということについてがイグノーベル賞なんですね。
つまり、アンケートに答えている人が、そのアンケートに対して嘘をついていないのか?ということです。
嘘をつかれていたとしたら、その検証結果自体も正しいものではなくなるわけですからね。
つまり、嘘つきにとったアンケートをもとに嘘つきの研究をするのは、いかがなものですか?といった皮肉です。
 
世の中、面白い研究をしている人はたくさんいます。
それを知る一つの機会がイグノーベル賞なんです。
その存在を知るに当たってマスコミによるところが大では、日本人が集団意識が高く、それゆえコントロールされやすいという欠点を再び世界に露呈してしまう時代が来るのではと、ちょっと不安に思います。
めざせ「一身独立して一国独立す」です。
教育の本質ですよね。

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