フィンランド教育が日本人に合わないわけ

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 日本人の集団意識

ドナルド・トランプがアメリカ大統領になって幾日かが経ちます。
彼の政治姿勢や手腕についてはここでは述べるつもりは取り合えずありません。
ただ、彼が商売において日本人に苦手意識を持っているらしいという記事を見ました。
なんでも、「多人数で交渉場所に現れるから全員を納得させるのが困難だ」という理由だからだそうです。
確かに日本人は集団で活動するのが好きですよね。
私個人の考えにすぎませんが、おそらく江戸時代の徳川政権による支配が日本人の集団的意識を育て上げたのだと思っています。
そう言った意味では、日本は確かに大統領制よりも議院内閣制のほうが向いているのでしょうね。
 
いやいや、日本の政治の話ではありません。
でも、日本の集団的意識に関する話です。
 

 フィンランド教育と個人主義

日本の教育は、学歴社会と言われ、学歴社会から少し緩めればゆとり教育と皮肉られ……。
で、フィンランドの教育を見習え、デンマークの教育を見習え、カナダの教育を見習えと言われるようになりました。
でも、本当にそうなってもいいのかなぁ。
正直、私個人はある面でそうあるべきだと思っています。
つまり、既定の学力がついていなければ進級させないというフィンランド教育に大賛成です。
あれ?
なにか違いました?
フィンランド教育というのはそういったものだと私は理解していたのですが……。
私の調べた範囲だと、フィンランドは小学校に入学する前に事前審査があるようです。
つまり小学校に入学できる段階に成長しているか否かを確認するわけです。
いわゆる就学前教育ですね。
で、日本人の保護者の皆様。
日本で「あなたの子どもはまだ小学校に入学するレベルには達していませんので、もう一年待ちましょう」と言われて耐えられますか?
ご近所さんからは「あら○○くんはもう一年就学前教育をうけるのね?いいわよそのほうが。その子のためなんだし。オーホホホホホ。」と言われて、子どものためにも毅然として入学保留を受け入れることができますか?
実は私の次男は3月生まれ。
某社の虎の子が出てくる通信教材を購入していましたが、進みが合わない気がしたので年中の時に年少のものを頼んで購入していました。
そんなことができる私でも、「オーホホホ」には耐えられないでしょう。
 
フィンランドでは耐えられるのか?
耐えるも何も普通みたいです。
想像でしかありませんが、就職して一人前になるまでに無償で基礎学力を習得させてくれるわけですから、ちゃんと段階を踏んで教育を受けたほうが得、という意識があるのでしょうね。
つまり、義務教育の目的が、日本の「進学する」とか「無難に学校で過ごす」とは違って、「仕事につけるだけの基礎力をつける」にあるということです。
だから下手にすり抜けて、仕事についてからダメなレッテルを張られたり、ましてや仕事ができなかったり、仕事につけなかったりするぐらいだったら、と考えるのは当然でしょう。
そう。
フィンランド教育を推奨する人は、それをいとわないということなんです。
そして、いわゆる集団から外れてしまうとやばいという強迫観念が異様につよい日本人には不向きなシステムなんでしょう。
ちなみに、フィンランドには学校の授業が分からないと、補習をしてくれる専門の先生が別にいるそうです。
その先生は親切に学習を見てくれます。
が、決して規定以上の時間、学習を見ることはありません。
たしか1日1時間だったかなぁ……。
ボランティア精神よりも労働基準のほうが重視されるのです。
そういった意味では、日本の教員はボランティア精神によって労働基準を超越している人がほとんどです。
そして中にはそれが当然、つまり自分の権利だと思っている愚かな精神の未成熟な大人の方もいるようです。
もしかしたら、今、日本でフィンランド教育導入を切実に願っているのは当の日本の教員かもしれませんね。
 

 デンマーク教育の担い手

ちなみにデンマークの義務教育はフィンランドに近いと思います。
が、特徴的なのは「入学させる義務はない」という、日本と全く異なる教育理念からできあがっていることです。
日本の場合は、三大義務として「子女に教育を受けさせる義務」がありますが、デンマークの考え方は逆です。
正確な表現ではないかもしれませんが、要するに親の責任なんです、子どもの教育は……。
だから親と学校の協働による教育という発想はとても強いわけです。
まぁ、デンマークって日照時間が短いからか、夜遅くまで働く親は少ないですから、子どもと接する時間が長くなるのは当然といえば当然ですか。
国のありようが根底にあるといえば、そうなんでしょうね。
 

 カナダ教育は校長不足

せっかくですから、カナダの教育の事例も少し出しておきましょう。
カナダはグレードごとに進級していきます。
基本は単位を取得して進級するようです。
だから、進級できないという子どもがいて当たり前という感じでしょうね。
進級制度のことより驚いたのは、学校の先生……正確じゃありませんね、授業をする先生は注意をすることはほぼないということです。
すばらしいじゃないか!
日本人は疑うことをせず、すぐ飛びつきます。
例えば、休み時間に小学生がコーラをわざと廊下にまき散らしても、先生はこれといった注意はしません。
当たり前です。
授業をする先生は、休み時間は時間外なので時間外労働はしません。
そのコーラがまき散らされた廊下を労働者として清掃担当者が淡々と掃除するんです。
それを横目でニヤニヤして見ているという話です。
それでも学校か!
って憤った人、私と同じ日本人ですね。
私も憤りました。
でも、カナダ人が言うんです。
学校って授業するところですから。
そんなしつけは家でやってくださいってことなんでしょう。
 
素晴らしい教育ですね。
誰も怒らない。
自由に我がままに学校で生きていられる。
 
ふと思います。
他人を傷つけてしまった場合はどうなるんだろう……?
実は、小学校でもしつけや問題解決をする人は一応います。
校長先生だそうです。
だから、校長先生になりたくない教員がいっぱいいるそうで、校長不足になっているという話でした。
ついでにもう一つ、カナダの人は日本の小学校に掃除の時間があることに驚いていました。
近年ではそれを見習うべきだという意見もちらほら出ているのだそうです。
 

 日本人の集団意識と教育

さて、フィンランド教育やデンマーク・カナダ……。
日本人に合わないわけ、なんとなく感じていただけたでしょうか。
日本人は集団意識が強いんです。
これは日本人という国民の利点です。
今のままの教育が良いと言っていると思われるのは心外ですが、
日本人の特徴として、善の意識が強い分、善を他人に強要する癖もよく見られます。
つまり、合わない部分が多いんじゃないかってことです。
それは、先に書いた話を読んで、無条件で嫌悪感をもったであろうことからわかると思います。
「自分の子どもが被害者側になったらどうしよう」という感覚は日本人に強くある感覚です。
だから、集団から外れたらかわいそうだし、横暴な奴に被害にあうような教育権場における管理体制は許せないのです。
となると、日本の教育って、まぁいいほうなんじゃないですか?
改善するところはたくさんあるし、工夫できるところはまだまだあるでしょう。
でも、良いところだけを見て、あっちがいい、こっちがいいというのはちょっと早計かも。
 
ついこの間、ブラジルで警察官がストライキをしました。
労働条件の改善のために、みんなで仕事をしないわけです。
このとき、ブラジル中で窃盗・殺人などの犯罪が急増しました。
警察が動かないわけですから、まぁ当然です。
さて、日本で同じように警察官がストライキを起こしたとして……
同じように短期間に犯罪だらけになることが想像できますか?
きっと、テレビの前で警察官に「俺よりもらってるんだろ!つべこべ言わずに働けよ!」というのが関の山でしょう。
これが日本の教育が持っている良い力だと思います。
その良い力を失ってまで得る何かがあるとしたら、とても興味がありますね。
 
最後にもう一度いいます。
今がベストなんていうつもりはありません。
ただ、今のベターをよりベター改造していきたいと思っているだけです。

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コメント

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