【国語】歌人 藤原定家は見た……いや見てない。

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 藤原定家という歌人

漫画やアニメ・実写映画にもなった『ちはやふる』。
これは、小倉百人一首のカルタを競技として行う話です。
皆さんも知っている小倉百人一首は、一人一歌を選んで百人の歌人による百首の歌で構成されています。
鎌倉時代の歌人宇都宮頼綱の求めに応じて、あの有名な藤原定家が選んだものといわれています。
 
藤原定家。
平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した歌人で、特に『古今和歌集』の選者として知られています。
あの藤原氏の一族で、かなり高い位である権中納言にもなっている由緒正しい高級貴族です。
 
実は当時の貴族はそれなりに忙しかったのか、忙しくなかったのか……。
幾人かがたわいもない日記をつけています。
このころの貴族といったら……というか人々といったら、噂話が大好きで、しかも迷信好き。
まぁ、もっとも宗教や迷信が当時の科学でしたから致し方ないとも言えますが……。
彼もその一人。
『明月記』というもので1180年から1235年までの56年間、日記をつけています。
定家自筆のものは国宝にも指定されています。
 

 超新星爆発

ところで、超新星爆発という言葉を知っていますか?
どっかの戦隊が必殺技に使っていそうな名前ですね。
 
超新星爆発とは、とっても大きな、重たい恒星、つまり近いところでは太陽、遠いところでは夜空に輝く星々、がその最後に爆発することを言います。
つまり歳をとった星が消滅する時の爆発なわけです。
「超」「新星」なんていうからとても若々しいイメージですが、星としては最後の瞬間なんです。
 
2016年3月、近代科学が発達して初めてこれが観測されました。
地球から12億光年離れたところにある「KSN 2011d」という恒星の超新星爆発でした。
なんとその大きさは、太陽の約500倍。
その爆発の明るさは太陽の1億3千倍。
もう、倍という表現が適切かどうかすらわかりません。
 

 過去の超新星爆発

今回の観測は実際にリアルタイムに観測できたという意味で初なわけです。
もちろん、リアルタイムなのは観測のほうで、超新星爆発自体はもちろん過去のできごとです。
光の速さの分だけタイムラグが生じますからね。
 
で、過去の超新星爆発の記録はどうか?ということです。
もっとも明るかったとされるのは 「SN1006」とよばれる恒星で、1006年の4月に明るい星が急に現れて消えたという記録が世界各地に残されています。
最も有名なのが、イスラム世界の偉人、医学者・哲学者・科学者のイブン・スィーナーの残した記録です。
これには、「 最初のうちはわずかに緑がかった黄色に輝き、明るさがピークに達したときには激しくまたたき、やがて白っぽくなり、見えなくなった」と記録されているそうです。
実は、この超新星爆発と思われる内容が、藤原定家の『明月記』にも書かれているのです。
もっとも、藤原定家が見たのではなく、過去に起こった非常に明るい星の記録として日記に書いているのですが。
他にも藤原定家の『明月記』には超新星爆発と思われる記録がいくつか見られます。
 
ここで気にしてほしいのが、その天文学の大記録を古典の中から誰が発見しているのかということです。
ええ、もちろん、天文学者の皆さんです。
だって、超新星爆発って天文学ですから。
 
星が大好きな人が将来、天文学者になることを目指して、毎日毎日望遠鏡をのぞいて星を見ている。
とても立派なことです。
でも、天文学者になってしまえば「古典は苦手。星と関係ないじゃん」とか「イスラムの言葉の医学書なんて興味ねーよ。おれは宇宙に興味があるんだ」では済まされないのです。
「好きなことをやる」と「好きなことしかやらない」というのは、どうも現代科学では異なるようですね。

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